征伐山 本編 第1部

それは、二つの世界の話。
一方の世界を表とするならば、もう一方は裏の世界。
表と裏は常にバランスがとれていた。
ある日突然、妖怪の出現により、裏の世界は・・・

 

第1話 旅立ち

   表の世界のある山奥に完勢堂という所があった。

そこに、一人の男が修行をしていた。
その男の名を石田供郎といった。

供郎:「オリャー!!ドリャー!!」

師匠:「供郎!、ふざけとらんでこちらに来なさい。」
供郎:「完勢先生、やだなぁー、ふさげてませんよ。」

師匠:「あのだなー、供郎。お前はもう一人前だ。

    武術はもちろんの事、わしの知っている魔術は全部教えたつもりだ。

    もう一つの世界がある事をお前も知っておろう・・・

    その世界へ行き、さらに修行を積んで来い。」

供郎:「そ、そんな事、急に言われても・・・まだ、」
師匠:その世界に行ったら、小沢人技という老人を尋ねるがよかろう。
供郎:「マジッすか?冗談で・・・」

師匠:「時間がない。急な話で申し訳ないが、明朝、日の出とともに出発してくれ!」

供郎:「完勢先生、俺はまだ・・・あっ、先生どこへ・・・・クスン(T_T)
    いいよ、行きますよ、いつも強引なんだから・・・」

 そして、旅立ちの時がやってきた。


師匠:「気をつけてな。」
供郎:「は、はい!」

師匠:「・・・供郎!」

供郎:「わかっています。先生。止めないで下さい。」

師匠:「いや、別に止めてはおらん。」

ガクッ・・・(供郎コケる)

師匠:「供郎、これをもってゆけ。」

完勢左古エ門は何やら不思議な紋章の玉を供郎に渡した。

供郎:「これは?」
師匠:「もう一つの世界へ行くには、この山奥にある洞窟へ行け。
    そこに、扉がある。この玉を使えば扉が開くはずじゃ・・・。
    それから、ポルピクスに向かう時にも使うがよい。
    いいか、お前はおっちょこちょいだから、特に気をつけるんだぞ!


供郎:「ポルピクス?それは、いったい何ですか?」

師匠:「うむ、すべては向こうに行ってからじゃ。」

結局、供郎は満足した話しも聞けず、何もわからないまま、旅立つ事となった。

 供郎は、まもなくその洞窟にたどり着いた。


「前から怪しいと思ってたんだよなこの洞窟。」

 洞窟の中をしばらく歩くと、そこに謎の扉があった。

「こ・・・これか・・この扉を開けるともう一つの世界へ行けるのか・・・」
「ん?これかな・・・この穴に師匠からもらった玉をはめたら開いちゃったりして・・・」

カチャ

・・・

 ガラガラガラ  ギギギィー


「うわぁ、ほんとに開いちゃたよ・・・な、なーんだ、意外に簡単でつまんないじゃん。」

しかし、その先は真暗であった。
供郎は扉から玉を取り出し、持っていた懐中電灯を照らし奥に進んだ。

バサッ!!

「!! なんだ?」

バサ バサ バサ

「上か?」

供郎は洞窟の天井を照らす。
すると、そこには吸血コウモリが群らがっていた。

「や・・・やべ・・・」

供郎は襲ってくる吸血コウモリを手で払い除けながら走った。

 供郎はなんとか吸血コウモリから逃げ切り、洞窟を抜け出す事ができた。


「これが、もうひとつの世界・・・
オレがいた世界と変わらない風景だな。」

その時、供郎は・・・・

 

第2話 ポルピクス

E2は供郎の手をとり空を飛んだ。

供郎:「わっ!!うわぁーーっ!すげーぞE2!もっともっと、速く飛んでくれよ!」

E2:「ちっ、 うるさい奴だ。ちったぁー黙ってろ!」

供郎:「・・・! 

そうか、この辺はずっと森になってたんだ」

そして、供郎は小沢人技の家に案内された。

供郎:「小沢先生はオレの師匠と古くからの友達といいましたね。いったいどんな関係なんですか?」

人技:「うむ・・・わしと完勢君はもともとこの世界の人間でな・・・
それぞれ師匠は違うが、この世界で武術はもちろんのことさまざまな修行をしてきた。
君は妖術を使えるかね?」

供郎:「えっ?妖術・・ですか?”気”を使うことならばいくらかは」

人技:「なんと!!まだだったのか・・・
供郎君、完勢君より”不思議な玉”を渡されたであろう。」

供郎:「あっはい。でも、何故そんなことを知ってるんですか?
それに、この玉はいったい何ですか?」

人技:「この玉は”辰の宝珠”といってな、完勢君の師匠、そして、またその師匠と昔から代々継がれてきた玉だ。
もちろん、わしも宝珠をもっている。」

供郎:「小沢先生もですか・?」

人技:「そう、わしのは”卯の宝珠”という
わしもこの世界で”卯の宝珠”を継がせる弟子を育てようとしたのじゃが
なかなかよい弟子に恵まれず・・・・
完勢君は、表の世界で供郎君というりっぱな弟子を育てたようじゃな・・・・」

供郎:「あは!!そんことは・・・(^_^)」

すると、供郎の後ろから誰かが来た。

??:「あのー、お茶をどうぞ」

人技:「紹介しよう。わしの孫の”みき恵”じゃ
お前もここに座ってわしの話を聞きなさい」

みき恵は供郎の正面に座った

供郎:「あっ、どうも・・・石田供郎です」

みき恵:「はじめまして、みき恵です
E2があなたを妖怪の手下と間違えたそうで・・・
ホントにごめんなさい!」

供郎:「いえ、別に気にしてませんから・・・
ところで彼(E2)は、あなた方とどんな関係なんですか?」

みき恵:「E2は私の父が開発したサイボーグなの」

供郎:「そういうことか・・・へぇ、すごいね、みき恵さんのお父さんが造ったのか」

人技:「そう、わしの息子、修(おさむ)は小さい頃から機械ばっかりいじっておったわ
しかし、生まれながらにして体が弱くての
・・・・でも
今は、みき恵がわしの後を継ぐと言い張ってうるさいんじゃよ・・・」

みき恵:「あら、おじいさん 私だって少しは妖術使えるのよ」


人技:「実はのぉ、供郎君 本題に入るのじゃが・・・」

人技:「わしも詳しくし知らんのじゃが、この世界には昔から語り継がれてきた話があるらしいのじゃ
その話しの中に
大妖怪が封印されている山がでてくる。
その山を妖怪の山”ポルピクス”というんじゃ」

供郎:「ポルビクス・・・そういえば完勢先生からその名を聞きました。」

人技:「ポルピクスとは本来、その封印されている大妖怪の名を指すのだが、
いつしかその妖怪の山をポルピクスと呼ぶようになったのじゃ」

人技:「5年前、なんとその妖怪の山、ポルピクスが突然現れたのじゃ
その伝説の話は実話だった・・・・
それからは、次々と妖怪がその山から各地へ広がり支配していった。」

人技:「妖怪の中には人間を食らうヤツもいるそうだ・・・」

供郎:「そうか・・・そういうことだったんですね。
でも、なぜ完勢先生はオレをこの世界へ?」

人技:「わしが呼んだのじゃ。
供郎君の力を貸して欲しい。
・・・・
半年前、ついにここにも妖怪が現れるようになった。
そして、みき恵の両親はその妖怪に殺された。」

供郎:「こ・・・殺された!?」

人技:「わしは老いすぎた。とても、奴には太刀打ちできなかったのじゃ」


みき恵:「おじいさん、今夜は見れるんじゃないかしら。
供郎君、一緒に見てみましょうよ」

供郎:「えっ?何を・・」

みき恵:「妖怪の山、ポルピクスよ」


そして、夜になった・・・・

「あれが、妖怪の山 ポルピクスじゃ。
昼はまったく見えない。
なぜか夜になると突然現れる。しかも、いつも決まった場所ではないのだ。
いつか、E2が近くまで飛んで行こうとしたが、どうやら目に見えない結界のようなものがあるようで
近づくことが出来ぬようじゃ。」

 

第3話 モクマ出現

 

第4話 辰の宝珠光る

 

第5話 龍の暴走

師匠:「いや!モクマではない。人間だ!」

モクマの灰から、人間の手が・・・・

ピクピク・・・

供郎:「まだ、生きている!早く助けなければ・・・」

E2はわずかに出ている人間の右手を掴み、引きずり出した。

ズザァーーーッ

その助け出した人間を見た瞬間、みき恵が叫んだ。

みき恵:「お母さん!!」

みき恵の母:「ううっ・・・・み・・みき恵・・・
ああっ・・みき恵!!」

みき恵は母の手を握り、顔を見つめた。

みき恵:「よかった、生きていたのね
半年前、妖怪に襲われ殺されてしまったのかと思ったわ・・・」

二人は抱き合い、涙を流して喜んだ。

師匠:「オッホン!まぁとにかく、まずは家に入ろうかのう・・・(^.^)」

師匠:「静子、修(おさむ)は、いったいどうしたのじゃ」

みき恵:「お父さんも妖怪に襲われたのよ、お母さんみたいに甦ってもおかしくないわ」

静子:「私はモクマに食べられたけど、お父さんは・・・さらわれたのよ!」

みき恵:「ええっ!!さらわれた・・・?」

師匠:「あの時、モクマの他にもう1匹の妖怪がいたはず・・・
そいつが、修をどこかへ連れて行ったのだな」

静子:「その妖怪の名は”ミノール
でも、モクマと同じでこの辺を荒らし回っている妖怪にすぎないわ
お父さんをさらっていったのは、さらに、他の3匹の妖怪
姿までは見えなかったけれど、お互いを”、””、”の色で呼んでいたわ
かなり強い妖怪らしく、モクマたちも一目置いていたわ」

供郎:「どうして修さんはさらわれたんだろう・・」

師匠:「修はE2を造った。その才能がポルピクスは欲しいのでは・・・」

供郎:「先生!修さんを助けに行きます!
そして、あの山の結界を破りポルピクスを征伐する・・・
その為にオレをこの世界に呼んだのでしょ?」

師匠:「うむ! 供郎君、よくぞ言ってくれた!
ならば、E2と一緒に行くのじゃ!
我々はまだ何もわかっていない・・・
まずは、この世界の各地を巡り情報収集じゃな!
そして、妖怪どもに襲われている人々も大勢いる。
その人達も君の力で助けてほしいのじゃ・・・
そのうち、きっと結界を破る方法が見つかる!」

みき恵:「おじいさん、私も行きます!」

師匠:「いかん!お前が行ったら余計に邪魔になるだけだ・・・」

みき恵:「そんな事はないわ!
今まで修行してきた事をここで生かさないで、
いったい、いつ生かせばいいの!!
・・・・・・
それに・・・・
助けたい・・・
私、お父さんを助けたい!!」

供郎:「先生!オレからもお願いします。
あの時、みき恵さんがいなければ暴走してました。
また、どうなるか自分でもわかりません!
みき恵さんが一緒ならばもっと心強いです!」

E2:「師匠、私からもお願いします!
お嬢さんは私が守りますから・・・」

師匠:「・・・しかし、みき恵・・・・・」

静子:「おじいさん、本当は行かせたいのでしょ?
素直じゃないんだから・・・・
みき恵、行ってらっしゃい
おじいさんの面倒は私がみるから心配ないわ」

師匠:「こら!静子!
いらんことを言うでない!」

静子:「みき恵はおじいさんと同じで頑固だから無駄ですよ
それと・・・
卯の宝珠”を扱うことができるのは、
みき恵だけ・・・
他にも”仲間”を見つけなければならないのに、
みき恵だけ、ここに閉じこもっている場合じゃないわ!!」

師匠:「・・・・・・(ーー;)」

みき恵:「ありがとう! お母さん、おじいさん
私、頑張るわ!」

供郎:「仲間? お母さん、それはいったいどういう事ですか?
オレとみき恵さんが持っている宝珠が他にもあるって事ですか?」

静子:「そうよ、供郎君
あら? でも、もうてっきり知っているのかと思ったわ・・・」

師匠:「わしがこれから話そうと思っていたところじゃ!!

師匠:「昨日、わしが話した昔から語り継がれてきた話じゃが
ポルピクスの事だけでなく、この宝珠に関する話もあるのじゃ
つまり、各々伝えられている話こそがポルピクスを倒す為のカギなのじゃ
供郎君たちは各地で話を聞き、考えるのじゃ
・・・・
そして、このわしにも代々伝えられてきた事がある
この世が紺碧の雲に覆われし時、十二の宝珠が輝く
とな・・・・
理解したかね供郎君、宝珠は12個あるのじゃよ」

供郎:「じゅ・・・12個!!
つまり、宝珠を持っている者が12人!!
し・・・知りませんでした・・・・
完勢先生は何もオレには話してくれなかった・・・・
ましてや、代々伝えられてきた話さえ知らない・・・」

師匠:「完勢君は話さんよ、そういう男じゃ!
しかし、わしは知っているぞ、君の師匠が語ろうとしている話・・・」

みき恵:「供郎君の代々伝えられてきた話ね」

師匠:「それは・・・
三本の光はやがて一本になるじゃ!」

供郎:「それって、三流剣のことじゃないですか」

師匠:「・・・(^_^;)
まぁ、そう考えても仕方ないのう
しかし、これは三つの龍の剣と書き三龍剣と呼ぶ技じゃ
これは「辰の宝珠」を持つ者の究極技と聞いておる
君の師匠である完勢君でさえまだ習得していない技じゃ」

供郎:「なんて事だ・・・
オレは今まで本当に何も知らずに修行してきたんだ
こんな・・・・
こんなに奥の深いことがあったなんて・・・・」

そして・・・
供郎たちの新たな旅立ちの日が来た

師匠:「供郎君、この先にペペテという小さな村がある。
まずは、そこへ行くのじゃ!
道中、山賊が出るところもあるそうじゃ、気をつけるのじゃ」

供郎:「はい!」

静子:「みき恵・・・・」

みき恵:「・・・お母さん・・・」

静子:「E2、頼んだわよ!」

E2:「はい!お嬢さんは私がお守りします!」

師匠:「そうじゃ、ひとつ言い忘れたことがある
三流剣のことじゃが・・・
究極技ではなくても破壊力は大きい
ところ構わず使うでないぞ!!」

供郎:「は・・・はい!」



供郎:「それでは、行ってまいります!
さあ、、出発だぁーっ!」」

 

第1部 終了